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臓器機能制御学教室からの最近の論文

2015.04.08 | Publications | 研究 |

金沢大学臓器機能制御学教室では、臨床、教育と共に研究にも力を注いています。ここ最近の論文を紹介します。


Kawashiri MA, Tada H, Hashimoto M, Taniyama M, Nakano T, kawashiriNakajima K, Inoue T, Mori M, Nakanishi C, Konno T, Hayashi K, Nohara A, Inazu A, Koizumi J, Ishihara H, Kobayashi J, Hirano T, Mabuchi H, Yamagishi M.
Extreme Contrast of Postprandial Remnant-Like Particles Formed in Abetalipoproteinemia and Homozygous Familial Hypobetalipoproteinemia.
JIMD Rep. 2015 Mar 13. [Epub ahead of print]

Kawashiri MA, Nakanishi C, Tsubokawa T, Shimojima M, Yoshida S, Yoshimuta T, Konno T, Yamagishi M, Hayashi K.
Impact of Enhanced Production of Endogenous Heme Oxygenase-1 by Pitavastatin on Survival and Functional Activities of Bone Marrow-derived Mesenchymal Stem Cells.
J Cardiovasc Pharmacol. 2015 Feb 14. [Epub ahead of print] IF=2.111

間葉系幹細胞は組織再生療法に有用な移植細胞として考えられていますが、低潅流域などの障害組織下での生着効率が低く、その効果が十分に発揮されていません。スタチン系薬剤であるピタバスタチンは、抗酸化作用を有するヘムオキシゲナーゼ1や細胞保護効果を有するeNOSの産生を促進させること、血管新生作用を有するVEGFを分泌促進させることで、虚血性疾患に対する細胞移植治療の効果を増強させる可能性を示しました。


Yoshida T, Sakata K, Nitta Y, Taguchi T, Kaku B, Katsuda S, Shimojima6862 M, Gamou T, Nakahashi T, Konno T, Kawashiri MA, Yamagishi M, Hayashi K.Short- and long-term benefits of drug-eluting stents compared to bare metal stents even in treatment for large coronary arteries.
Heart Vessels. 2015 Mar 11. [Epub ahead of print]

循環器内科吉田太治先生による臨床論文で、血管径の大きな冠動脈病変に対するステント留置後の長期予後を、BMSとDESで比較した報告です。DES時代においても、大血管ではBMSでよいという意見があるものの十分なエビデンスが乏しい領域でしたが、今回大血管においてもDESに優位性がみられたことを報告しています。DESで懸念されている超遅発性ステント血栓症が、BMS留置後にみられたことも興味深い点でありました。近年、径の大きい4mmのDESも発売され、今後のPCI戦略を考える上で意義のある報告と考えられます。


Yamada K, Zoshima T, Ito K, Mizushima I, Hara S, Horita S, Nuka H, Hamano R, Fujii H, Yamagishi M, Kawano M.
A case developing minimal change disease during the course of IgG4-related disease.
Mod Rheumatol. 2015 Mar 24:1-4. [Epub ahead of print] IF=2.206

IgG4関連疾患に合併した微小変化型ネフローゼ症候群に関する症例報告です。IgG4関連疾患に合併する糸球体病変としては膜性腎症が有名ですが、それ以外の糸球体病変も合併することが知られています。今回、初めて微小変化型ネフローゼ症候群の合併について報告いたしました。IgG4関連疾患の経過中にネフローゼ症候群を呈した場合は、微小変化型ネフローゼ症候群も鑑別疾患になることを示した貴重な症例報告と考えられます。


Tada H, Kawashiri MA, Takata M, Matsunami K, Imamura A, Matsuyama M, Sawada H, Nunoi H, Konno T, Hayashi K, Nohara A, Inazu A, Kobayashi J, Mabuchi H, Yamagishi M.
Infantile Cases of Sitosterolaemia with Novel Mutations in the ABCG5 Gene: Extreme Hypercholesterolaemia is Exacerbated by Breastfeeding.
JIMD Rep. 2015 Feb 10. [Epub ahead of print]

本論文では、乳児期に著明な高コレステロール血症と皮膚黄色腫を呈し、ホモ接合体性家族性高コレステロール血症(FH)と誤診されていた、シトステロレミアと呼ばれる常染色体劣性遺伝形式をとる非常に稀な疾患について臨床像や経過、その遺伝子解析を紹介しています。母乳により保育した時期にのみ著明な高コレステロール血症を呈する病態について、原因分子であるABCG5の役割と共に考察しています。

ACC 2015 in San Diego, California

2015.03.26 | 海外学会 | 学会・研究会 |

アメリカ合衆国心臓学会(ACC)に参加して参りました。本年のACCはカルフォルニア州サンディエゴで開催されました。日本からは、直行便、ロスアンゼルスまたはサンフランシスコ経由などで比較的楽に行けます。

 

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過去のACCの記事はこちらへ

ACC 2014 in Washington, D.C.

ACC 2013 in San Francisco, California

ACC 2012 in Chicago, Illinois

ACC 2011 in New Orleans, Louisiana

ACC 2010 in Atlanta, Georgia

ACC 2009 in Orlando, Florida

ACC 2008 in Chicago, Illinois

 

会場は海に近く、湾内のコロナド島を結ぶボートなども出ています。

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また、未だかつてみたことがないようなでかいヨットがありました。全高50mもあろうかという巨大マストを有していました。

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さて、肝心の学会ですが、一般演題はポスターが中心でした。金沢大学からは4題の演題が採択され、結構注目を浴びていたようです。

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企業展示は結構賑わっていました。遠隔操作型カテーテル診断機器などは今後普及する可能性があるかもしれません。

 

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海外での学会の楽しみのひとつに、現地の分化との触れ合いがあります。すでに、教室の参加者のface bookや個人ホームページにアップされているかもしれません。サンディエゴといえばメキシコ料理です。早速若手は、メキシコ料理などに舌鼓をうったようですが、中には、サンディエゴで食するメキシコ風メインロブスターを堪能した人もいました。

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2016年のACCはシカゴでの開催のようです。

心臓病公開市民講座 in 七尾

2015.03.24 | 学会・研究会 | 医局行事 |

本年も心臓病公開市民講座を開催しました。

昨年の公開市民講座の様子はこちらへ

金沢大学臓器機能制御学・循環器内科では石川県後援事業としまして毎年公開市民講座を開催し、心臓病から命を守る教育講演会を開催しています。本年は去る3月21日、石川県七尾市で開催されました。当日の概要は翌日の北国新聞にも掲載されました。

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一般講演する坂田憲治医師(現金沢大学附属病院循環器内科講師)
3月14日の北陸新幹線開業とともに金沢―和倉温泉を結ぶ特急「かがり火」で金沢から七尾に向かいました。

 

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当日は休日にも関わらず、約70名の市民の皆様が参加され、心臓病、とくに狭心症、心筋梗塞についての病気の話や緊急時の対処法について熱心に聴講されていました。

 

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また、最後にパネルディスカッションで全体での話がありました。中には、10年前に自宅で心停止となり、当時、勤務しておられた北 義人医師(現輪島市立病院副院長)に救命された方も参加され、10年前の経験などを語っておられました。

 

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パネルディスカッション。手前が北 義人医師(現輪島市立病院副院長)。

安田紀久雄先生第43回医療功労賞受賞

2015.02.13 | 臨床 |

金沢大学臓器機能制御学教室では、臨床を特に重視しています。これは、専門医のみならず、地域で活躍する総合診療医についても同様の立場です。このような中、当科出身で現在能登地区で開業医として永らく地域医療に貢献されてきた安田紀久雄先生(http://byoinnavi.jp/clinic/70378)が、第43回医療功労賞(読売新聞主催)を受賞され、この度授賞式が挙行されました。

私たちにとりましても、安田先生の受賞は大変な誇りであり、これからの先生の益々の御活躍を祈念する次第です。

AHA 2014 in Chicago, Illinois

2014.11.22 | 海外学会 | 学会・研究会 |

2014年11月15~19日の日程でアメリカ合衆国心臓協会(AHA)年次学術集会が極寒のシカゴで開催され、当教室からも精鋭が参加し、発表して参りました。

会場のシカゴマコーミックセンターの中庭。AHAのシンボルの展示がみられる。

 

過去のAHAの記事はこちらへ。

AHA 2013 in Dallas, Texas

AHA 2012 in Los Angeles, California

AHA 2011 in Orlando, Florida

AHA 2010 in Chicago, Illinois

AHA 2009 in Orlando, Florida

AHA 2008 in New Orleans, Louisiana

AHA 2007 in Orlando, Florida

 

学会期間中は、澄んだ青空に恵まれたものの、最高気温が0℃、最低気温は-15℃から-10℃と、これまで経験したことがない極寒の状況での開催となりました。

 

シカゴ市街の遠景。遠くにトランプタワーが見えます。

 

学会といえば、企業展示や市民へのアピール講座なども楽しみです。心肺蘇生の市民講座では、小学生から大人までが格安の練習キットを片手に楽しく蘇生の実習に励んでいました。

 

企業展示場での心肺蘇生市民講座での実習

AHAでの企業展示はここ数年低調でした。特に大型医療機器の展示が、すぐ後に控える北米放射線学会での展示に移ってしまい、AHAでの機器展示が大幅に減少しています。その中で、薬剤メーカーの健闘が光ります。日本からも散見されました。中でもD社は大型のブースを構え、存在感十分でした。

 

さて、肝心の学会発表ですが、当教室からは森雅之先生(大学院2年)が初の口述発表に挑戦しました。実は昨年のAHAではポスター発表であったため、この1年精進に精進を重ね、この日に備えてきました(本人談)。100人程度収容の比較的小会場での発表でしたが、9割埋まった聴衆を前に健闘したようです。

初のAHA口述発表で健闘する森 雅之氏(大学院2年)。

また、彼の発表は即日オンラインでテクロス社から速報アップされています。

 

口述発表は森氏のみでしたが、ポスター発表では、多田隼人助教、野原淳准教授、野村章洋先生(大学院2年、ハーバード大学留学中)の諸氏が数題発表いたしました。

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