後期臨床研修・内科専門医研修 大学院

後期臨床研修・内科専門医研修 大学院 後期臨床研修・内科専門医研修 大学院

後期臨床研修・内科専門医研修

金沢大学附属病院内科では後期臨床研修医・内科専門医研修医を募集します。国民の心身の健康のために力を尽くすことに使命感と誇りを持ち、医学医療の発展に情熱を持つ医師を求めます。新・内科専門医制度に基づき、初期臨床研修に続く後期臨床研修(専攻医)について、当教室の教育理念である「総合力ある内科専門医」の育成を目標としたオリジナリティのある研修プランを用意しています。
本プログラムは石川県の国立大学である金沢大学附属病院を基幹施設として、北陸医療圏(石川、富山、福井)を中心とした連携施設が協力し、内科専門研修を通じて北陸医療圏の医療情勢を理解し、地域の実情に合わせた実践的な医療を行えるようなプログラムを組んでいます。内科専門医としての基本的臨床能力を涵養した後は、さらに高度な総合内科のGeneralityの獲得、内科領域のSubspecialty専門医への道を歩む場合を想定し、複数のコース別研修プランを用意し内科専門医の育成を行います。

I. 金沢大学附属病院での後期臨床研修・内科専門医研修の特徴

豊富な症例!指導医・連携医が充実!

豊富な症例!指導医・連携医が充実!

大学病院ならではの希少疾患や複雑症例を各科のエキスパートの指導の下に多数経験することが可能です。一方でCommon diseaseについても13領域において広く経験することが可能です。十分な内科指導医数を擁し、各診療科での指導医は臓器別専門医であることはもちろんですが、国内外における実臨床のエキスパート、臨床研究のリーダーが指導します。総合医局の強みを生かした人材配置により、救急やICU、臨床検査にも医局の医師が所属しており十分な連携が図れます。

“人を育て、我々も育つ” 教育にかける熱い思いがあります!

人を育て、我々も育つ 教育にかける熱い思いがあります!

日常診療におけるカンファレンスでは、常に上級医とディスカッションしながら診療を進めます。屋根瓦方式での指導が外来、病棟、救急外来、検査室、医局と様々な局面で行われます。
また、各分野のエキスパートを招いてのレクチャーが定期的に行われており、院内・教室内での自主的な勉強会も盛んです。 基礎研究の話題も多く、臨床一辺倒ではなく様々な局面から疾患を捉える訓練ができます。

当教室で取得可能な専門医資格

新しい専門医制度の動向を見極めながら、適切な時期に各分野の専門医が取得できるよう各部門のリーダーが各人と相談しながら計画を立てていきます。横断的な症例の経験が求められることが予想され、当教室の総合医局としての特徴が最大限に活かされる研修となります。多彩な研修連携施設が特徴であり、各種学会の認定施設、特定の疾患群に特化した施設、総合内科・地域医療を研修できる施設など連携施設の特徴が多彩で、個々の専攻医の理想の内科医師像に応じた研修が可能となります。

当教室で取得可能な専門医資格

研究・学会活動

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後期研修中において、臨床で遭遇する疑問や貴重な症例について検討するため、Journal club(論文抄読会)、臨床研究ワークショップを定期的に行います。臨床経験のみならず、学会発表・論文執筆に対して高い意識を持って臨める環境を整えています。経験豊富な上級医が研究手法、倫理面の手続き、統計処理、プレゼンテーション、論文執筆について細やかな指導を行い、優れた内容のものは海外のメジャー学会での発表も可能です。高いレベルでの臨床研修を行いながら、臨床経験を科学的な研究に昇華させる思考過程と技術を学ぶことが可能です。

Ⅱ. 後期臨床研修・専門医研修プラン

「総合力ある内科専門医」の育成を目指す当教室では、初期臨床研修終了後の後期・専門医研修充実のため、いくつかのプランを用意しています。

後期臨床研修・専門医研修プラン

プラン1.【サブスペシャリティ重点コース】

将来のサブスペシャリティが決定している先生のために、内科専門医取得のための研修に加え、専門分野の研修にも重点を置いたコースです。研修開始直後の2-3か月間は希望するサブスペシャリティ領域にて初期トレーニングを行い、その後、各科をローテーションします。ローテーション期間中、内科とサブスペシャリティの並行研修が認められ、また連携教育施設においては当該サブスペシャリティ科において内科研修を継続してサブスペシャリティ領域を重点的に研修するとともに、充足していない症例を経験します。

プラン2.【大学院重点コース】

将来のサブスペシャリティが決定しており、さらに大学院への早期進学を希望する先生のためのコースです。臨床研修プログラムはサブスペシャリティ重点コースに準じます。専門研修2年目以降に大学院進学し、大学院での研究を行いながら、内科専門医取得に必要な臨床修練を並行して行います。必要に応じて、週に1日程度、研究に専念する研究日を設けることができます。

プラン3.【内科基本コース】

選択するサブスペシャリティを模索しつつ内科専門医取得を目指す、もしくは将来にわたった総合内科診療を目指す先生のためのコースです。3年間で各内科や内科臨床に関連ある救急部門などをローテートします。 内科基本コースは内科の領域を偏りなく学ぶことを目的としたコースであり、専攻医研修期間の3年間において内科領域を担当する全ての科をローテーションします。

Ⅲ. 豊富な関連病院から最適なローテンションが選べます!

豊富な関連病院から最適なローテンションが選べます!

金沢大学循環器病態内科学教室(旧第二内科)では北陸三県に豊富な関連病院を有しています。それぞれのサブスペシャリティ科に必要な症例と手技を経験することができるよう計画を立てることが可能です。

関連病院について

Ⅳ. 各臨床科での研修について

当教室が診療を行う循環器内科、内分泌代謝内科、リウマチ膠原病内科、腎臓内科、消化器内科での修練が可能です。内科救急疾患や重症例への診療も十分に経験できます。いずれの診療科においても中堅医師からのサポートと指導が受けられ、安全な環境で診療が行えます。

循環器内科
担当する主な疾患・病態

虚血性心疾患(急性冠症候群、狭心症)、末梢動脈疾患、心筋疾患・心膜疾患、心構造疾患(弁膜症、先天性心疾患)、不整脈、心不全、生活習慣病(高血圧、脂質異常症)、睡眠時無呼吸症候群

到達目標
  • 虚血性心疾患のマネージメントを適切に行うことができる。急性冠症候群の初期治療から慢性期管理において、至適薬物療法およびインターベンションの適応と限界を知り、心臓血管外科と連携して最適なアウトカムを得るための治療戦略を立てることができる。
  • 弁膜症および先天性心疾患を含む心構造疾患(structural heart disease;SHD)に対して、心エコーを中心とした画像モダリティによる評価法を学び、手術・経皮的インターベンション・薬物療法などの適切な治療法を選択することができる。
  • 特発性心筋症(肥大型心筋症、拡張型心筋症、拘束型心筋症、不整脈源性右室心筋症など)、特定心筋症(サルコイドーシス、筋ジストロフィー、産褥性など)の鑑別、診断、不整脈などの有害事象の予防管理、および心不全管理が行えるようになる。特に特発性心筋症においては心移植の対象となり得るため、移植症例の登録から紹介までを上級医とともに包括的に行う。
  • 不整脈の急性期対応を身に付け、難治性不整脈・低左心機能症例に対する非薬物治療(高周波カテーテルアブレーション、ペースメーカー、植え込み型除細動器、心臓再同期療法など)の適応を知る。また、これらの観血的手技に積極的に参加し習熟する。
内分泌・代謝内科
担当する主な疾患・病態

間脳・下垂体疾患(先端巨大症、下垂体機能低下症、尿崩症など)、甲状腺疾患(バセドウ病、慢性甲状腺炎など)、副甲状腺疾患(副甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能低下症)、副腎疾患(原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫、副腎偶発腫瘍など)、難治性高血圧症、二次性高血圧症、糖尿病(1型糖尿病、2型糖尿病など)

到達目標
  • Common disease(糖尿病、甲状腺疾患、原発性アルドステロン症など)からrare diseaseまであらゆる内分泌・代謝疾患の診断および治療ができる。
  • 全人的に患者さんをアセスメントし、内分泌・代謝疾患のみならず、背景疾患・合併症の診断と患者さんの社会背景も考慮した治療方針を立案することで、総合的な内科医としての診療能力を涵養する。
  • 代謝疾患(糖尿病・脂質異常症・肥満症および高血圧など)を有する患者を循環器疾患予防の点から診療できる。また、他科・多職種との連携を実践し、チーム医療を遂行できる。
  • 内分泌疾患ごとの内分泌学的検査の特徴を把握し結果を解釈できる。また各種の内分泌学的負荷試験の概念、方法を理解し、結果にもとづいて診断ができる。
  • 内分泌エマージェンシー(下垂体卒中、甲状腺クリーゼ、副腎クリーゼなど)や糖尿病性昏睡(糖尿病性ケトアシドーシスなど)を的確に診断し、適切な早期治療を実施できる。
  • デザインシンキングから始まり、レギュラトリーサイエンスを通じて、金沢から日本、そして世界へ発信する臨床研究/医薬品・医療技術開発を計画・遂行できる。(我々の科にはメディカルイノベーションコースの指導医とそこで学んだ複数の医師がいます。)
リウマチ・膠原病内科、腎臓内科
担当する主な疾患・病態

膠原病(関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎、シェーグレン症候群、ベーチェット病、サルコイドーシス、血管炎、IgG4関連疾患など)、腎臓病(糖尿病性腎症、腎硬化症、急速進行性腎糸球体炎、ネフローゼ症候群など)、腎移植

到達目標
  • 関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなどの全身に多彩な合併症を来す膠原病診療を通して、専門的かつ総合内科的な診療能力を涵養する。
  • ループス腎炎などの膠原病関連腎疾患、慢性腎炎、ネフローゼ症候群、糖尿病性腎症などの腎疾患について、診断・治療に始まり慢性期管理までの包括的なマネージメントを策定し、実行することができる。
  • 当院及び関連病院で行われた腎生検の組織診断に携わり(年間約150例の病理診断実績あり)、基本的な病理組織診断能を確立する。
  • 血液透析、持続血液ろ過透析、血漿交換、特殊血液浄化(二重膜ろ過・免疫吸着・LDL吸着・白血球/顆粒球除去療法など)の適応について習熟し、血液浄化チーム内で機能することができる。特に心臓バイパス術など高度な外科手術患者の周術期の透析管理や通常の治療ではコントロール困難な膠原病・腎疾患に対する特殊治療を経験する。
  • シェーグレン症候群、IgG4関連疾患について診断プロセスを学び、診断に必要な唾液腺生検、腎生検を自ら行える。全国でも指折りの症例数から蓄積された臨床データからEvidenceを構築する過程を学ぶ。
消化器内科
担当する主な疾患・病態

消化管疾患、肝疾患、進行・再発癌に対する包括的治療、炎症性腸疾患

到達目標
  • 消化器疾患の患者さんに全面的に関わり、他科・他職種との協力を通じて、ケアの全体をデザイン・実践できる。
  • 病歴聴取と身体所見に基づく内科診療の基本を徹底し、様々な画像モダリティ、検体検査、侵襲的診断技法とその解釈について習得する。
  • 対象疾患患者について全人的観点からみた諸問題の理解と解決に取り組む。
  • 他科との連携・コンサルテーションの作法・技法を実地で学ぶ。
医局長から一言

内科に興味あるけど正直決めきれない・・というご相談を毎年頂きます。まずは当教室を見学していただき、その雰囲気を実際に感じて頂ければと思います。1日のみの見学、週~月単位での見学もお受けします。医局はオープンな雰囲気ですので、他大学、他施設からの見学者も気軽にお問い合わせください。

坂田 憲治 講師
問合せ先

大学院 ~ 知の高みを目指す! ~

Ⅰ. 医学系研究科 循環器病態内科学講座のご案内

医学系研究科 循環器病態内科学講座のご案内

臨床の発展には医学研究が必須です。循環器病態内科学は心筋梗塞、心不全や不整脈などの循環器疾患、高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満といった生活習慣病や内分泌疾患、腎、リウマチ、膠原病疾患、消化器疾患など内科全体にわたる臓器障害に対し幅広く臨床研究を行っています。各研究室のチーフはそれぞれの専門分野の臨床の専門指導医であると同時に日本における研究のリーダー的役割を果たしています。当教室ではこれらの分野での基礎研究・臨床研究・トランスレーショナル研究を行う大学院生を募集します。初期研修医から後期研修医、若手医師において、研究に興味を持たれている方や中堅医師の方でも更なるキャリアアップを望まれる方は是非ご相談ください。

Ⅱ. 研究室紹介

循環器病態内科学教室(Department of Cardiovascular and Internal Medicine)では内科学の各分野において革新的な臨床・基礎研究を展開しています。それぞれの分野で研究をしてみたい大学院生を募集しています。

循環器研究室
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循環器研究室では、循環器病診療データの蓄積から研究への展開をはかっています。具体的には、脂質代謝、家族性高コレステロール血症、遺伝性心筋症の基礎研究黎明期においてNature誌、New England Journal of Medicine誌、Circulation誌などの超一流誌にそのエートスを発表し、国際的に研究を牽引してきました。遺伝子解析班では遺伝性代謝疾患、遺伝性心筋症、遺伝性不整脈の遺伝子解析を行い、発見した分子に対して主にゼブラフィッシュやiPS細胞などを用いて機能解析を行っています。
近年では遺伝子や細胞レベルの基礎研究から、臨床応用を想定したトランスレーショナルリサーチを行っています。日々進化している医療技術と既存の技術を融合させることで、難治性循環器疾患の発症機序の解明と新規治療の開発を目的としています。

内分泌糖尿病研究室
内分泌糖尿病研究室

循環器疾患の発症・進展においては内分泌代謝異常が重要な役割を果たします。特に、高血圧、糖尿病への取り組みは国家的事業でもあります。私どもの研究室は、内分泌性高血圧、特に原発性アルドステロン症の臨床、研究において本邦での中心的役割を果たしています。心血管系や腎における「レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)」の重要性を報告し、今日の心不全臨床におけるアンジオテンシンIIブロッカーや抗アルドステロン薬の使用の先駆けとなりました。また糖尿病性腎症やメタボリックシンドロームにおけるRAASについての臨床研究が進行中で創薬を含め将来の新たな治療の開発に取り組んでいます。

リウマチ・膠原病研究室
リウマチ・膠原病研究室

リウマチ膠原病研究室では数ある自己免疫性疾患のうち、いくつかの疾患に焦点を当てた研究を展開しています。具体的には、シェーグレン症候群の一亜群として抗セントロメア抗体陽性原発性シェーグレン症候群の概念を提唱し、全国規模での症例の集積及び自己抗体の解析の日本のセンター的役割を果たしています。さらにシェーグレン関連疾患としてミクリッツ病を始めとするIgG4関連疾患の臨床研究の日本の中心的役割を果たしています。また、自己免疫疾患における病原性自己抗体の解明は治療につながる重要な研究ですが、遺伝子改変モデルマウスの作成に取り組んでいます。

消化管免疫研究室
消化管免疫研究室

従来からWilson病をはじめとした多様な疾患の遺伝子解析研究を行い、数々の業績を挙げてきました。現在、大腸の腫瘍性病変の臨床検体を用いた遺伝子解析を札幌医科大学分子生物学講座、名古屋市立大学消化器・代謝内科学講座などの国内の研究施設と共同で行っています。今後、関連施設や共同研究施設から検体の提供を受け、研究対象を拡大する予定です。

Ⅲ. 研究委員長があなたの疑問に答えます! ~ 大学院Q & A ~

研究委員長があなたの疑問に答えます!~ 大学院Q & A ~

大学院って医師はみんな入るものでしょうか?僕は現場で活躍できる医師になりたいのですが・・。

医学部5年生

中西 千明 助教

医師として疾患に苦しむ患者さんのために現場で力を発揮したいと思うことは当然のことですし、そうあるべきですね。当教室で大学院生として研究している人たちはいずれも臨床での経験をきっちり積んで、様々なモチベーションを持って博士号の取得を目指しています。
医師人生は約40年以上と非常に長いものですし、医師が主体的に携わる仕事は臨床医以外にも多岐に渡ります。臨床研究をデザインしたり、基礎研究で生命現象のドグマに触れようとする技術や思考過程はあなたの医師人生をきっと豊かにしてくれるものと思います。医療現場に浸透している医療技術も実は地道な基礎研究から生まれたものであることが多く、研究は夢のある仕事とも言えます。

研究委員長があなたの疑問に答えます!~ 大学院Q & A ~

市中病院で初期研修中です。上級医の先生方は医学博士を持っている方が多いですが、今は専門医の方が大事だって聞きます。学位を持っていることが将来、有利になることはあるんでしょうか?

初期研修医2年目

中西 千明 助教

医学博士は医師が取得する学位として最高位に位置します。英語ではPh.D.(Doctor of Philosophy) in Medical Scienceと言いますね。医学・医療は基礎科学の土壌が無くてはその発展はありません。臨床で活躍する医師が必要な一方で、基礎分野や臨床研究で力を発揮する医師に与えられる資格と名誉が医学博士と言ってもよいでしょう。また、最近では基礎研究の成果と臨床での実用を繋ぐトランスレーショナル研究(橋渡し研究)の重要性が増しており、ここでも基礎と臨床に深い造詣を持つ医学博士の活躍の場があります。
近年、専門的な知識と豊富な経験を有することを示す専門医の資格が重要視される傾向があることは事実でしょう。しかし、社会がより高い学問を修めた人材を必要とすることもまた普遍的な事実です。実際に、新・内科専門医制度における「指導医」の資格には臨床研究論文を執筆した業績かもしくは学位を有することが条件の1つとされています。「指導医」が不足するとその教育病院に専攻医(後期研修医)が集まらないという事態にもなるため、臨床の現場からも医学博士は必要とされているのです。

研究委員長があなたの疑問に答えます!~ 大学院Q & A ~

後期研修で循環器を選びました。心カテもできるようになってきて、充実しています。研究もしてみたいという興味はあるのですが、テーマはと言われると思いつきません。研究のテーマは与えて頂けるのでしょうか?

医師5年目

中西 千明 助教

私たちの教室では内科領域全体 (循環器、内分泌・代謝、リウマチ・膠原病、腎、消化器)に渡る臓器障害に対し幅広く研究を行っています。日常臨床に取り組んでいると、臨床上の未解決の問題が見えてくることがありますよね。そのような素朴な疑問からスタートして、臨床研究のやり方を学ぶことも可能です。また、興味を持った分野の分子生物学的な歴史を学び、私たちが持っている疾患レジストリーやコホートから基礎研究、臨床研究を行うことが可能です。大学院を考えている方には、まず担当分野の主任研究者とどのような方向性で研究を行うかを十分に話し合って研究テーマを検討しています。どんな分野でも、初歩的な実験手技がありますので、そこから始めてみるのも研究の面白さを実感するよい方法だと思います。基本的な研究を行っていく過程でより高度な技術や専門的な知識が必要となった場合には積極的に国内留学や海外留学を推奨しています。

Ⅳ. リサーチカンファレンス・抄読会

リサーチカンファレンス・抄読会

大学院生が研究内容について定期的にブラッシュアップを図るため、各研究室単位や医局単位でJournal club、研究報告会を行っています。研究室ではその道のエキスパートが日頃から研究内容について綿密なアドバイスを行っていますが、時として他分野からのアドバイスが必要な場合があります。総合内科医局としての多様性が研究面においても活かされ、研究手法や解析法に習熟した指導医からの助言が得られます。

実際に大学院生が行った抄読会の資料を公開します。

Journal Club Jan. 6th, 2016

Genetics and genotype–phenotype correlations in Finnish patients with dilated cardiomyopathy

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Oyediran Akinrinade, Laura Ollila, Sanna Vattulainen, Jonna Tallila, Massimiliano Gentile, Pertteli Salmenperä, Hannele Koillinen, MaijaKaartinen, Markku S. Nieminen, Samuel Myllykangas, Tero-Pekka Alastalo, Juha W. Koskenvuo, Tiina Heliö
European heart journal. 2015: 36; 2327-2337

Ⅴ. 学位論文例

学位論文例

①Altered metabolism of low-density lipoprotein and very-low-density lipoprotein remnant in autosomal recessive hypercholesterolemia: results from stable isotope kinetic study in vivo.
Tada H, Kawashiri MA, Ikewaki K, Terao Y, Noguchi T, Nakanishi C, Tsuchida M, Takata M, Miwa K, Konno T, Hayashi K, Nohara A, Inazu A, Kobayashi J, Mabuchi H, Yamagishi M.
Circ Cardiovasc Genet. 2012 Feb 1;5(1):35-41. DOI

常染色体劣性遺伝形式をとる非常に稀な家族性高コレステロール血症家系におけるリポ蛋白代謝を、安定同位体元素を用いて解析した研究です。新たなコレステロール代謝経路を明らかにし、この系への介入の可能性を示唆する論文です。

学位論文例

②Clinical characteristics of primary hyperaldosteronism due to adrenal microadenoma.
Karashima S, Takeda Y, Cheng Y, Yoneda T, Demura M, Kometani M, Ohe M, Mori S, Yagi K, Yamagishi M.
Steroids. 2011 Nov;76(12):1363-6. DOI

アルドステロン産生微小腺腫は、古典的腺腫(APA)と比較して腺腫隣接副腎組織からのCYP11B2のmRNAがより高発現していることを報告し、これは同部位のaldosterone producing cell clusters(APCC)の存在が疑われました。APCC、微小腺腫、APAといったアルドステロン産生腺腫の発症機序に関連した重要な報告です。

学位論文例

③Distribution and components of interstitial inflammation and fibrosis in IgG4-related kidney disease: analysis of autopsy specimens.
Hara S, Kawano M, Mizushima I, Harada K, Takata T, Saeki T, Ubara Y, Sato Y, Nagata M.
Hum Pathol. 2016 Sep;55:164-73. DOI

IgG4関連腎臓病(IgG4-RKD)の剖検症例から、病変を局在と進展度によって分類し、さらに病変の分布と特徴的成分を免疫染色で解析した研究です。多くのIgG4-RKDの病変は皮質または血管周囲に分布しており、特異的な線維化であるstoriform fibrosisは皮質に限局していることを突き止め、比較的深い中型血管周囲の病変を初めて同定しました。

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