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Exome sequence (エクソームシークエンス)の話題

2015.05.15 | 研究 |

臨床分子生物学ではしばしば用いられるようになった、エクソームシークエンスを用いた研究が話題となっています。当科の川尻剛照准教授は、Circulation Journalに投稿された論文に対するEditorial執筆を依頼され、肥大型心筋症での原因遺伝子検索のため本法が用いられ、しかも最近では検査費用も安価になりつつある状況をとりまとめて報告しています。

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当科の多田隼人助教は、川尻准教授らとともに、比較的まれな遺伝病である、タンジール病について、本解析を行い、従来では見出せなかった遺伝子異常を記載するに至っています。

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また、多田助教は、いくつかのEditorial執筆を求められ、最近J Atherscler and Throm誌に、特に遺伝性コレステロール血症におけます、本検索の意義を強調しています。

いずれにしましても、今や、ダイレクトシースエンスからエクソームシークエンス、さらにwhole genome sequence (全遺伝子解析)の時代へと移り行く様子が実感されます。遺伝性心血管疾患への取り組みから、創薬や新しい治療法の開発につながる研究を今後とも推し進めていく上で、大変な話題といえます。

Textbook of Physical Diagnosis

2015.05.12 | 教育 |

Textbook of Physical Diagnosis (Elsevier-Saunder 7th edition)はアメリカ合衆国の医学生、研修医の間で人気のある臨床診断学の教科書です。

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この度、創著者でもあるDr. Mark H Swartz氏からその第7版が送付されてきました。内容はコンパクトで非常に理解しやすく、学生、研修医にはうってつけとも言えます。

Swartz氏は元々ニューヨークのマウントサイナイ病院の循環器内科准教授でしたが、数年前からニューヨークで医学生、研修医を対象とした医学教育を専門としたビジネスを展開しています。

Clinical Competence Center of New York

ここにはアメリカ合衆国での臨床研修を望む日本の医学部卒業生もかなり訪れるそうです。当教室とSwartz氏とのお付き合いは、1980年代まで遡るそうです。Swartz氏は日本通で、先日もニューヨークで日本博(日本の日)が開催された時は真っ先に訪れ、そこに金沢、北陸新幹線の展示があったので、早速写真を送って頂きました。

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ニューヨークで開催された「日本の日」での金沢、北陸新幹線の紹介ブース

アメリカの臨床教育に触れてみたい、実際アメリカでの臨床に従事するための診断学を身につけたい方は是非C3NY, the Clinical Competence Center of New Yorkを訪問してみてください。

SCAI 2015, Late Breaking, Million study

2015.05.11 | 海外学会 |

金沢大学臓器機能制御学・循環器内科准教授川尻剛照先生がアメリカ合衆国心血管インターベンション学会(SCAI:The Society for Cardiovascular Angiography and Interventions )でのLate Breaking Sessionで、Million研究の成果を公開しました。

金沢大学臓器機能制御学・循環器内科グループでは、多施設共同の無作為介入研究としてMillion研究を進めてきました(Kawashiri MA et al, Heart and Vessels 2015. doi)。この度その成果がまとまり、2015年5月17日に開催されたSCAI学術集会のLate Breaking Sessionで発表されました。この発表は多数の応募から厳選された6題の発表があり、川尻准教授の発表は前半の最後で、多くの聴衆の関心をあつめました。

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発表内容は、アムロジピンを基本とした降圧療法とアトロバスタチンによる血圧・コレステロールの管理が冠動脈粥腫の退縮の及ぼす効果を臨床的に検討したものです。その結果、標準治療群、積極治療群いづれにおいても7-9%の冠動脈硬化粥腫の退縮がみとめられ、両者併用の動脈硬化進展抑制作用が示されたものです。

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アメリカ合衆国おけるこの手のLate breaking sessionでの発表は、直ちに多くのメディアに取り上げられ、インターネット上でも10をこえるWebでの評価がなされています。下記を参照ください。

http://citoday.com/2015/05/07/million-study-presented-at-scai

http://www.biospace.com/news_print.aspx?NewsEntityId=376046

http://www.prnewswire.com/news-releases/combined-blood-pressure-and-ldl-cholesterol-lowering-medication-therapy-reduces-harmful-coronary-plaque-300079453.html

http://www.lelezard.com/en/news-6983992.html

http://www.firstwordpharma.com/node/1282541#axzz3ZmfLLEaY

http://www.medpagetoday.com/Cardiology/Atherosclerosis/51424

このような多施設による臨床研究の成果を国外でのLate breaking sessionで発表できることは、私たち循環内科としての誇りでもあり、今後益々頑張らねばと励まされます。

第79回日本循環器学会学術集会

2015.04.30 | 国内学会 | 学会・研究会 |

第79回日本循環器学会学術集会(小川久雄会長)が大阪で開催され、金沢大学循環器内科グループからも多数の演題発表などがなされました。

ポスターセッションでは田中仁啓助教などが臨床、基礎論文を提示しています。

ポスター発表の田中仁啓助教

学会のハイライトの一つであるシンポジウムにもいくつか採用され、最近話題のStructural Heart Diseaseのセッションでは森三佳助教が得意の心臓超音波法に関する発表をしています。

シンポジウムで発表する森三佳助教

また、このような学会での楽しみの一つは、早朝から夜遅くまでの学会活動後の懇親会です。今回は大阪らしく、落ち着いた雰囲気での懇親会となりました。

大阪での懇親会らしく、落ち着いた雰囲気での懇親会の様子が窺えます。

2016年3月は第80回学術集会が仙台(下川宏明会長)、そして2017年3月はいよいよ金沢での開催となります。当日は、開催期日まで明示した開催ポスターも掲示され、いよいよ学会に向けての本格的な準備が始まったところです。

第80回学術集会開催ポスター(右)にならんで、金沢での学会開催予告がなされました(左)
第81回日本循環器学会学術集会開催予告

本学術集会は2017年3月17日(金曜日)から19日(日曜日)に開催されます。また、翌20日(月曜日)は祝日となっています。この機会に金沢においで頂き、また祝日を利用されての観光など、お楽しみ頂ければと思っています。

金沢大学の卒業生が全国ネットで大きく報道されました

2015.04.14 | 教育 |

4月13日午前5時57分ごろ、何気なく「あさチャン」を視聴しておりましたら、けさのグッとな話として、「60歳の新人研修医が、、、」「過疎地域での臨床研修を始め、、、」「将来は総合診療医を目指して、、」という、キャスターの報道がありました。

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「もしや」と思って、カメラを構えていましたら、やはりそうでした、一昨年本学を卒業したM君でした。彼は日本国霞が関某省の官僚の椅子を捨て(聞くところによりますと、「審議官」級だったそうです)、毎朝3時起床で勉学に励み、本学に学士入学、その後、本年めでたく医師国家試験に合格した苦労人なのです。

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当教室の臨床講義で、教授がM君に「この疾患の予後についてはどうか」と質問したところ、「その点についての見解は、3つに分かれるところであります。予後はいいという見解、まあまあという見解、そして予後は悪いという報告等がございまして、まだ一定の基準は出来ておりません」という回答でした。教授が「M君はどこかの役所出身か?」と質問しますと、「はい、霞が関のNS省キャリア官僚でした」との返事。印象深かったです。

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当教室には、M君が在職したNS省庁とは異なるG省出身の官僚経験者もベッドサイドラーニングに参加しています。彼もM君ですが、将来はアフリカとか中近東で活躍したいと言っているようです。乞う、ご期待です。
(本文中の画像は2015年4月13日放送の北陸放送「あさチャン」からの引用です)