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金沢大学臓器機能制御学教室からの最近の論文

2015.11.30 | Publications | 研究 |

金沢大学臓器機能制御学教室では、臨床、基礎分野での総合力の向上を目指して、循環器病学分野は勿論のこと、内分泌糖尿病グループ、リウマチ膠原病グループからの論文執筆活動も益々盛んになっています。ごく最近の成果を紹介します。

Nomura A, Tada H, Teramoto R, Konno T, Hodatsu A, img_jcWon HH, Kathiresan S, Ino H, Fujino N, Yamagishi M, Hayashi K.
Whole exome sequencing combined with integrated variant annotation prediction identifies a causative myosin essential light chain variant in hypertrophic cardiomyopathy.
J Cardiol. 2016 Feb;67(2):133-9. doi 

遺伝子解析技術の進歩は目覚ましく、原因遺伝子解析も全ゲノム、エクソームシークエンス解析の時代に入っています。野村章洋先生(現ハーバード大学)は心筋症の遺伝子解析にエクソームシークエンスを用い、新しい原因遺伝子を特定した論文をまとめています。

 

Tagawa S, Nakanishi C, Mori M, Yoshimuta T, Yoshida logo-ijvmS, Shimojima M, Yokawa J, Kawashiri MA, Yamagishi M, Hayashi K.
Determination of Early and Late Endothelial Progenitor Cells in Peripheral Circulation and Their Clinical Association with Coronary Artery Disease.
Int J Vasc Med. 2015;2015:674213. doi

 

Oka R, Aizawa T, Miyamoto S, Yoneda T, Yamagishi M.11301
One-hour plasma glucose as a predictor of the development of Type 2 diabetes in Japanese adults.
Diabet Med. 2015 Oct 19. doi

関連病院からこれまでも多数の学術論文を執筆されています、大家理恵先生によります糖尿病診断の論文です。負荷1時間後の血糖レベルの意義について考察しています。

 

Karashima S, Yoneda T, Kometani M, Ohe M, Mori S, hr_cimageSawamura T, Furukawa K, Seta T, Yamagishi M, Takeda Y.
Comparison of eplerenone and spironolactone for the treatment of primary aldosteronism.
Hypertens Res. 2015 Nov 26. doi

苦節6年、漸く形になりました。筆頭著者の唐島宇宙君は現在、ミシガン大学に留学中ですが、留学中に最低10篇の論文を仕上げるまでは、母国の土は踏まないと豪語いたしております。ご期待ください。

 

Zoshima T, Yamada K, Hara S, Mizushima I, Yamagishi 23M, Harada K, Sato Y, Kawano M.
Multicentric Castleman Disease With Tubulointerstitial Nephritis Mimicking IgG4-related Disease: Two Case Reports.
Am J Surg Pathol. 2016 Apr;40(4):495-501. doi

本日の読売新聞全国版で取り上げられましたIgG4関連疾患に関する論文です。本症の発症には複合免疫障害が関連していることが組織学的に認められる興味ある論文です。

IgG4関連疾患(読売新聞、医療ルネサンス)

2015.11.30 | 教育 |

IgG4関連疾患に関する記事が読売新聞全国版に掲載されました。
IgG4関連疾患は、従来ミクリッツ病など、全身の臓器に波及する原因不明の疾患のうち、血中IgG4が高値を示したり、また障害臓器にIgG4陽性細胞が認められるなど、大変特異的な疾患群です。また、大動脈や時には冠状動脈にも炎症は波及して、瘤の形成や狭窄をきたす場合もあります。金沢大学臓器機能制御学教室では、従来より、川野充弘講師を中心としたリウマチ膠原病研究グループがこの疾患の基礎、臨床研究にに取り組み成果をあげています。2015年11月30日の読売新聞全国版にIgG4関連疾患の話題が取り上げられ、川野充弘講師のコメントが掲載されています。

幅広く総合力を身につけた専門医を目指す教室としての本領を発揮しています。また、最近でもIgG4関連疾患に関します論文が当教室よりでています。ご参照ください。

金沢大学 内科グランドカンファレンス

2015.10.27 | 教育 |

2015年10月24日土曜日、金沢大学医学部教育棟第2講義室において、カリフォルニア大学サンフランシスコ校 内科学教授で「内科医の頂点」「鑑別診断の神様」と称されるローレンス・ティアニー先生を招いて症例カンファレンスを開催しました。

 

 

もちろん英語で進められますが、当教室出身で自治医科大学 総合診療内科教授の松村正巳先生をディスカッサントとして迎え、例年通り重要なポイントで適宜コメント・補足して頂きました。金沢大学の学生や北陸3県の初期研修医はもちろん、北陸3県から指導医クラスの先生まで約80名の方に参加して頂き、会場の学生用講義室が最後列まで埋まる盛況ぶりでした。

 

 

事前にお知らせしていない2症例について、主訴、病歴、身体所見の順に情報が増えていく中でどのように鑑別診断を整理し統合していくかを論理的に展開されました。1症例目は当科 和田明梨 医師がプレゼンされ、3週前からの発熱を呈した特に既往のない65歳男性で、最終診断は巨細胞性動脈炎の方でした。不明熱は内科医にとって最もチャレンジングな状況の1つですが、ティアニー先生は”Complicated disease, easy test.”と言い切られ、病歴と身体所見から適切に鑑別診断を絞り込む過程を示されました。

 

ティアニー先生はアメリカで老舗の内科教科書である「Current Medical Diagnosis and Treatment」の主幹編集者を2008年まで務められました。2004年~2005年頃にかけては松村先生が当時勤務されていた石川県立中央病院(関連病院参照)での勉強会に多くの医学生や若手医師が詰めかけ、このCurrentを持ってサインの列に並んだものでした。

その医師たちは今や全国の教育機関・医療機関で主軸となって活躍しています。

 

 

ティアニー先生の診断理論や珠玉のパールは松村先生の訳で世に出ています。

 

 

2症例目は当科 堀田成人 医師がプレゼンされ、3ヶ月続く発熱を認めたSLE治療中の39歳女性で、最終診断はクリプトコッカス髄膜炎の方でした。複雑な神経所見を呈した難解な症例でしたが、”髄液所見からはListeriaらしい”など細かいコメントをされた一方で、注意すべき頭痛の性状や、”Sinus tachycardia never lies.(何か悪いことが起きており、重症を示唆する)”といった基本的なパールも紹介されました。

左より鈴木、和田、ティアニー先生、堀田

会の後に行ったアンケートでは、ほぼ全員の参加者が「満足」「今後も参加したい」と答えて頂きました。
臨床推論について学ぶことのできる大変良い機会であり、今後も当科を中心に質の高い症例提示を続けていきます。なお、過去には医学生の方がプレゼンされたこともあります。

 

ティアニー先生の教育セッション(2008年)

Tierney先生を招いて研修医のための臨床セミナーを開催しました(2007年)

 

内容や英語については当科医師がサポートしますので、症例提示を希望される方は声を掛けて下さい。

リウマチ・膠原病内科 鈴木 康倫

市民公開講座「心筋梗塞から命を守る!~予防と119番通報~」

2015.10.17 | 医局行事 |

当教室主催の市民公開講座を開催いたしました。

 

当教室が主催した過去の市民公開講座

2014年3月16日 心臓病から命を守る:狭心症・心筋梗塞との付き合い方(金沢大学医学部)

2015年3月21日 心臓病公開市民講座 in 七尾 (恵寿総合病院)

 


市民公開講座 心筋梗塞から命を守る!~予防と119番通報~

開催日時 2015年10月4日(日曜日)14:30-16:3010.4パンフ最終版
会場    金沢大学附属病院宝ホール  
参加費   無料
事前予約 不要

 

開会の挨拶 山岸正和 金沢大学循環器内科

第一部 講演会 心筋梗塞について学ぼう

座長 後藤由和先生 金沢大学救急部

1.心筋梗塞ってどんな病気? 金沢市立病院循環器内科 関口芳輝

2.生活習慣病と心筋梗塞:予防するには? 金沢大学循環器内科 川尻剛照

 

第二部 講演会 胸が苦しくなったら119番

座長 稲葉英夫 金沢大学救命センター

119番通報からの救急搬送:救急隊からのメッセージ! 浜野武志 金沢市消防局

 

第三部 パネルディスカッション

座長 坂田憲治 金沢大学循環器内科 八重樫貴紀 松任中央病院循環器内科

パネリスト

半田内科    小川純
済生会金沢病院 大江幸多郎
金沢大白循環器内科 中橋卓也
金沢大学救急部 舟田晃
金沢市消防局 浜野武志

閉会の挨拶 梶波康二 金沢医科大学循環器内科

主催 石川県急性心筋梗塞専門医療機関連絡会
   (代表 金沢大学臓器機能制御学・循環器内科 山岸正和)

後援 石川県健康福祉部 日本循環器学会北陸支部 金沢市医師会 北國新聞社

 


当日は、100名を超える市民の方々の参加を得、金沢市消防局から救急救命士の方にも講演をお願いしました。パネルディスカッションでは、市民の皆様から、心筋梗塞や狭心症でも服薬についてなど、日頃の疑問について質疑がなされ、また救急隊からは救急車出動要請のタイミングなどについての詳細な紹介があり、充実した講座となりました。

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金沢大学循環器内科では救急部と連動して、「胸部・背部痛」の急性期診療をより充実させています。今後もこのような市民の命を守る活動を私たちは継続していきます。

この会の模様は北國新聞の記事となりました。

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