金沢大学臓器機能制御学教室を中心とした多施設共同研究で、我が国おける肥大型心筋症と遺伝子異常の関連が明らかとなりました。
本研究の成果をまとめた研究論文がアメリカ合衆国心臓学会誌心不全版(J Am Coll Cardiol HF)に掲載されました。予てより肥大型心筋症、心不全研究に携わって参りました、金沢大学臓器機能制御学・循環器内科、鹿児島大学、高知大学、北海道大学、山口大学、国立循環器病研究センター、大阪大学、東京大学などで集積されました肥大型心筋症、高血圧性心疾患症例などの予後についての観察研究の結果、同じ肥大心臓であっても(サルコメア)遺伝子変異を伴う場合には、不整脈や心不全などのイベントが多く観察されることが明らかにされました。
Sarcomere gene mutations are associated with increased cardiovascular events in left ventricular hypertrophy: results from multicenter registration in Japan.
Fujita T, Fujino N, Anan R, Tei C, Kubo T, Doi Y, Kinugawa S, Tsutsui H, Kobayashi S, Yano M, Asakura M, Kitakaze M, Komuro I, Konno T, Hayashi K, Kawashiri MA, Ino H, Yamagishi M.
JACC Heart Fail. 2013 Dec;1(6):459-66.
本研究がインパクトの高い科学雑誌に掲載されたことを受け、12月3日、4日の毎日新聞、北陸中日新聞、北国新聞に大きく報道され、また4日朝にはFMラジオでも放送されました。
循環器内科を標榜しています当教室においても大変誇らしい業績であり、今後につながる重要な研究発表と自負しているところです。
また、本論文が巻頭記事であり、しかもEditorial commentも付記されていることからもそのインパクトが想像されます。
Towards understanding the impact of sarcomeric gene mutations.
Wolf MJ.
JACC Heart Fail. 2013 Dec;1(6):467-8.
追跡期間が1年と短く、ベースラインの年齢、血圧、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、左室後壁厚、最大左室壁厚、左室拡張末期径、左室流出路圧較差、僧帽弁逆流に差があり解釈には注意を要する」としつつも、「遺伝子変異の心血管イベントへの影響を継続して解明する必要性を明らかにした」と評価されています。