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【原著論文】糖尿病合併高血圧患者に対するアンジオテンシンII受容体拮抗薬/エプレレノン併用療法の有効性(内分泌糖尿病グループ:唐島成宙医師)

2017.08.15 | Publications |

Angiotensin II receptor blocker combined with eplerenone or hydrochlorothiazide for hypertensive patients with diabetes mellitus

Karashima S, Yoneda T, Kometani M, Ohe M, Mori S, Sawamura T, Furukawa K, Yamagishi M, Takeda Y.
Clin Exp Hypertens. 2016;38(7):565-570. doi
Impact Factor (2016): 1.162

 

Abstract
Experimental models recently suggested an interaction between aldosterone and adipose tissue, but clinical investigation has been limited. We studied the effects of eplerenone compared to hydrochlorothiazide (HCTZ) on blood pressure (BP), glucose, and lipid levels in 50 patients with essential hypertension (EHT) and type 2 diabetes mellitus whose BP failed to reach target levels with 8 mg of candesartan alone. BP improved similarly in both groups over the 12-month study period, but BMI, waist circumference, and LDL-cholesterol were decreased in the eplerenone group, while glycohemoglobin was elevated in the HCTZ group.

 

本論文の背景:
 脳・心血管合併症を予防、進行を抑制するためには、血圧の管理が重要です。多くの大規模臨床研究が示すようにアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)は、脳・心血管、腎疾患合併症の抑制に有効であり、特に、糖尿病合併高血圧患者においては、各学会の高血圧ガイドラインでも第一選択薬の1つに挙げられます。しかし、実際、ARB単剤で管理目標値まで降圧を行うことは難しく、降圧薬の多剤併用が必要となります。JSH2014ガイドラインでは、ARB+少量利尿薬は、有効な併用療法の1つとして推奨されていますが、利尿薬は糖尿病、低カリウム血症、高尿酸血症等の代謝異常を引き起こし、またレニン·アンジオテンシン·アルドステロン系を活性化する作用を有します。近年、選択的ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)であるエプレレノン(EPL)は、降圧作用以外に優れた臓器保護作用を有することを報告され注目されています。

要旨:
 ARBにて降圧不十分な本態性高血圧症(EHT)患者に対し、EPLを併用し降圧効果及び臓器保護効果をARB/ヒドロクロロチアジド(HCTZ)合剤と比較検討しました。EHT患者50例にカンデサルタン(CAN)8mgを3カ月投与後の外来血圧がJSH2009の降圧目標を未達成の患者を対象に、CAN 8mg/HCTZ 6.25mg配合剤へ切り替え群25例と、EPL 50mg併用群25例に無作為に割り付け12カ月後の血圧、体重、BMI、腹囲、腎、電解質、糖・脂質代謝、血漿レニン活性(PRA)、血漿アルドステロン濃度(PAC)、高分子アディポネクチンに及ぼす影響を評価しました。両群ともに有意に収縮期血圧、拡張期血圧を低下させ、2群に差は認めませんでした(Figure.1)。EPL群では、体重、腹囲、LDLコレステロールが減少し、高分子アディポネクチンが上昇としましたが、HCTZ群では、HbA1cが有意に増悪しました。

Figure.1

 EPL群では、降圧薬追加2か月後の降圧変化とEPL併用前のPAC値と負の相関を示し、また、EPL併用前の高分子アディポネクチンと正の相関を示しました。(Figure.2)

Figure.2

 

今後の展望:
 今回の少数例の検討では、ARB/EPL併用療法は、少量利尿剤と同等の降圧作用を有し代謝に悪影響を及ぼすことなく、逆に、体重、脂質に対して好影響を及ぼす可能性を示しました。EPLがアディポネクチンの増加させ、腹囲が減少し内臓脂肪量を減少させたことを示唆するこのデータは、脂肪組織内におけるアルドステロンとその受容体の役割について、考えさせる結果です。脂肪組織には、アルドステロン合成酵素であるCYP11B2も発現していると報告されており、脂肪組織自体がアルドステロンを合成している可能性があります。我々のグループでは、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン・アディポサイト系という新たな概念をもとに、DNAのメチル化によるその機序の解明や熱産生の関わりについて、更なる基礎研究に取り組んでいます。

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