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第64回日本心臓病学会学術集会(東京)

2016.11.05 | 国内学会 | 学会・研究会 |

第64回日本心臓病学会学術集会が東京国際フォーラムにおいて2016年9月23日(金)~25日(日)の日程で開催されました。

当グループから多数の演題発表がありましたが、今回は金沢大学医学部高学年生による発表が注目されました。


第64回日本心臓病学会学術集会
テーマ:進化する臨床心臓病学 Evolving Clinical Cardiology Bringing Paradigm Shift in Humanity with Innovative Research & Technology
会長:代田 浩之(順天堂大学大学院医学研究科 循環器内科学)


特別講演yamagishi
司会) 山岸 正和(FJCC) (金沢大学医薬保健研究域医学系臓器機能制御学)

Martin Cowie (Cardiology, Imperial College London(Royal Brompton Hospital), UK)
Heart Failure Management:what is the place of remote monitoring?

 


一般演題 ポスター ACS腎症・その他
司会) 道下 一朗(FJCC) (国家公務員共済組合連合会 横浜栄共済病院)


一般演題 口演 腎konno
司会) 柿木 滋夫(FJCC) (北海道社会事業協会小樽病院 循環器科) / 今野 哲雄(FJCC) (金沢大学 循環器内科) / 大蔵 隆文(FJCC) 【コメンテーター】 (愛媛大学大学院 循環器・呼吸器・腎高血圧内科学)

 

 


一般演題 口演 心筋・心膜疾患fujino
司会) 石坂 信和(FJCC) (大阪医科大学 内科学III) / 泉家 康宏(FJCC) (熊本大学医学部附属病院 循環器内科) / 藤野 陽(FJCC) 【コメンテーター】 (金沢大学 循環器病態内科学)

 

 


一般演題 ポスター 脂質・糖尿病kawashiri
司会) 川尻 剛照(FJCC) (金沢大学大学院医薬保健学総合研究科 循環器病態内科学)

 

 

 


一般演題 口演 症例報告 心不全・弁膜症

吉田 太治 (金沢大学 循環器内科) 、過外 真隆 、山岸 正和 、他

下垂体腫瘍摘出術後早期から左室収縮能の改善を認めた低左心機能合併先端巨大症の一例

症例は65歳女性。50歳頃より2型糖尿病の診断で治療が開始となり、

今回、唯一の口演発表を行った過外君

インスリン療法が導入されていたが近年血糖コントロールは不良であった。60歳頃より手指肥大や顔貌の変化を指摘されることがあった。64歳時より労作時息切れを自覚するようになり、心臓超音波検査にて左室拡大(左室拡張末期径75mm)とびまん性左室壁運動低下(左室駆出率 23%)、高度僧帽弁閉鎖不全症を認めた。冠動脈造影検査では左冠動脈前下行枝に狭窄病変を認めるのみで、びまん性左室壁運動低下を説明しうる心筋虚血の所見は認められなかった。また、心臓MRI検査では心筋遅延造影所見は認められなかった。手指肥大等の特徴的容貌を認めていたため内分泌学的精査を施行したところ、成長ホルモン(GH)およびIGFI(insulin-like growth factor-I)高値、MRIで下垂体腺腫を認め、先端巨大症の診断に至った。心筋生検では特異的な所見は得られなかったが、内分泌疾患に伴う二次性心筋障害による心不全が疑われた。心不全に対してACE阻害薬およびβ遮断薬、スピロノラクトンの投薬が開始となったが、若干の自覚症状の改善は認められたものの左室拡大及び壁運動障害に著変は認められなかった。心不全治療開始約2か月後、経蝶形骨洞的下垂体腺腫摘出術を施行した。術後細菌性髄膜炎を発症し管理に難渋したが、術後GH高値改善ともに左室収縮障害の改善傾向を認め、術後60日の時点では左室拡張末期径52mm、左室駆出率42%まで改善を認めた。以後中等度の僧帽弁閉鎖不全症の残存を認めるが、薬物治療にて心不全増悪なく経過している。これまで、低左心機能を呈した先端巨大症の予後は不良とされる一方で治療後に心機能の改善を認めた例も報告される。しかし、治療後これほど早期から心機能改善を認めた症例の報告は検索した限りない。心不全を合併した先端巨大症の病態および治療方針を検討する上で、示唆に富む症例であり報告する。

 


一般演題 ポスター 症例報告 大血管・末梢動脈疾患

田中 仁啓 (金沢大学附属病院 循環器内科) 、杉森 遥 、山岸 正和、他

異なる経過を辿った限局性上腸間膜動脈解離の2例

≪症例1≫ 高血圧既往のある55歳男性。心窩

発表に臨む杉森君

部痛を主訴に近医を受診した。造営CTで上腸間膜動脈(SMA)起始部に限局性解離を認めたが、壊死所見を認めず保存的加療となった。同日腹部症状が増悪したため当院へ緊急搬送となり、造営CTを再度撮影した結果、造営CTで小腸・上行結腸の壊死所見を認めたため緊急手術の方針となった。小腸切除、結腸右半切除、人工肛門造設を行い術後ICU管理となった。術後は短腸症候群のため経管栄養が導入され退院となった。
≪症例2≫ 特に既往のない47歳男性。前日続く腹痛のため近医受診し、造影CTでSMA起始部に限局性解離を認めた。真腔の圧排は強かったが、壊死所見を認めなかったため保存的加療を行った。絶食・降圧管理で腹痛は自然に消退し、食事開始後も腹痛の再燃は認めなかった。退院時の造影CTでも偽腔の拡大は認めず、真腔は拡大傾向にあったため、第12病日に退院となった。
限局性上腸間膜動脈解離は保存的加療で改善を認めることが多く、持続性の腹痛や血管径の拡張症例などではステント留置術を選択するケースも増加している。しかし、ステント留置の長期成績は大規模データが不足しており、比較的若年に発症することからも一定の見解を見ない。また、症例1のように壊死所見を認める場合には迅速な手術加療が必要であり、症状及び身体所見に細心の注意を払うべき疾患と考えられる。

 

 

 


一般演題 ポスター 症例報告 心筋症1

田村 祐大 (金沢大学附属病院 循環器内科)、青山 周平、山岸 正和、他

左室内血栓による塞栓症を発症するも重篤には至らずに経過した拡張型心筋症の1例

症例は61歳、男性。通院歴なく、6年前までの健康診断では特に異常

発表した青山君(左)と指導医の田村先生(右)

は指摘されておらず、心疾患の家族歴もなかった。X年3月中旬より労作時呼吸困難や浮腫を認め、安静時呼吸困難まで増悪したため、同年3月末に近医を受診した。うっ血性心不全として加療が開始されたが、心臓超音波検査にて左室内血栓を指摘されたため、4月に当院へ転院となった。当院の心臓超音波検査では、EFは 20%程度でびまん性の壁運動低下、重度の僧帽弁閉鎖不全症を認めた。また、心尖部下壁に24×20mm、心尖部前壁に7×11mmの可動性のある血栓を認め、中部前壁中隔には30mm以上の可動性のない血栓を認めた。入院時の頭部CTにて左前頭葉に小範囲の脳梗塞を認めていることからも塞栓症のリスクが高いと判断し、血栓摘除術について心臓血管外科へコンサルトした。しかし、心機能低下や僧房弁閉鎖不全症、出血性脳梗塞、塞栓症のリスクが危惧され、手術適応はないと判断された。転院後も心不全加療を継続し、血栓に対してはヘパリンとワーファリンによる抗凝固療法を開始した。また、連日の心臓超音波検査を施行したが、転院3日後に心尖部下壁と心尖部前壁の血栓は消失していた。同日には自覚症状や身体所見上の異常は認めなかったが、転院4日後に右上腹部痛を認めたため、造影CTを施行したところ、脾梗塞と両側腎梗塞を認めた。その後、中部前壁中隔の血栓については、抗凝固療法の継続にて消失しており、溶解したと判断された。今回は拡張型心筋症患者の左室内に粗大な血栓を認め、塞栓症を発症したが、重篤には至らずに経過した症例を経験したので報告する。

 

 


一般演題 ポスター 症例報告 先天性心疾患

岡田 寛史 (金沢大学 循環器内科) 、川原 徹也 、山岸 正和、他

高度の左室収縮障害を伴い治療方針の決定に難渋した成人心房中隔欠損症の1例

症例は61歳男性。52歳時より検診で高血圧症を指摘。同年入浴時に

循環器の重鎮の先生方と堂々と議論する川原君

一過性脳虚血発作を発症し近医脳神経外科受診し、以降、降圧剤を処方されていた。53歳頃より数分程度持続する動悸を自覚するようになり、発作性心房細動と診断されワーファリンによる抗凝固療法が開始されていたが、60歳頃より動悸を自覚する頻度が増加し、持続時間も次第に長時間となり、左室収縮障害(左室駆出率39.4%)を指摘されるようになった。61歳になり心房細動は持続性となり、NYHA2度の心不全症状を伴うようになり、下腿浮腫、胸水貯留を認めるようになった。慢性心不全の診断で精査加療目的に当科入院となる。入院時、左室収縮障害 の進行(左室駆出率20.0%)、中等度以上の僧帽弁閉鎖不全症、三尖弁閉鎖不全症を認め、経食道心臓超音波検査にて2次孔欠損型心房中隔欠損症と左心耳に血栓像を認めた。左右短絡率88.1%、体肺血流比5.3、軽度の肺高血圧を認め手術適応と考えられたが、高度の左室収縮障害を認めていたため、手術加療を含め治療方針の決定に苦慮した症例。若干の文献的考察を加え報告する。

 

 

 

 

 


 

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発表された学生の皆さん、お疲れ様でした!発表のため数多くの文献を読み、スライドづくりにも多大な労力を要したでしょう。医師となったとき、この経験は必ず生かされます。今後の活躍を期待しています!

 

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