4月14日に発生しました熊本地震から1週間が経過しようとしています。被災されました皆様には謹んでお見舞い申し上げます。これまでの震災にも増して、大規模な余震が続いていますことも、現地の皆様には大変なご負担になっておろうかと推察いたします。私は、1995年に前任地で阪神淡路大震災を、当地に赴任直後の2007年に能登半島地震を間近で経験いたしました。両者とも大規模地震ではあったのですが、余震は比較的短時間で収束した記憶があります。今回のような地震では現地の皆様のご苦労が倍増するものではないかと懸念いたしているところです。
報道では既に長期間の車中泊に伴う深部静脈血栓症および肺血栓塞栓症を発症され亡くなられた方もいらっしゃるとのことです。我々は能登半島地震の経験から、大規模地震の場合には、急性冠症候群や脳内出血の頻度が明らかに増加し、地震そのものによる犠牲者を凌駕することを報告しています(Tsuchida et al. Circ J. 2009.)。急性冠症候群は地震発生から2週間以内、また脳内出血はその後も1ヶ月程度発生が持続しますので、地震発生に伴う循環器疾患の管理の重要性が示されています。
この度の熊本地震での被災者の皆様に心よりお見舞い申し上げ、また現在も支援されている皆様のご無事での活動をお祈りいたします。
2017年4月19日
金沢大学循環器病態内科学 教授
山岸正和