臨床分子生物学ではしばしば用いられるようになった、エクソームシークエンスを用いた研究が話題となっています。当科の川尻剛照准教授は、Circulation Journalに投稿された論文に対するEditorial執筆を依頼され、肥大型心筋症での原因遺伝子検索のため本法が用いられ、しかも最近では検査費用も安価になりつつある状況をとりまとめて報告しています。
当科の多田隼人助教は、川尻准教授らとともに、比較的まれな遺伝病である、タンジール病について、本解析を行い、従来では見出せなかった遺伝子異常を記載するに至っています。
また、多田助教は、いくつかのEditorial執筆を求められ、最近J Atherscler and Throm誌に、特に遺伝性コレステロール血症におけます、本検索の意義を強調しています。
いずれにしましても、今や、ダイレクトシースエンスからエクソームシークエンス、さらにwhole genome sequence (全遺伝子解析)の時代へと移り行く様子が実感されます。遺伝性心血管疾患への取り組みから、創薬や新しい治療法の開発につながる研究を今後とも推し進めていく上で、大変な話題といえます。