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臨床 

大規模地震と心血管疾患の発生について

2016.10.27 | 臨床 |

2016年10月21日、鳥取県で最大震度6弱の地震が発生しました。多数の家屋の倒壊が確認されており、今後二次災害や地震関連疾患の発生が危惧されます。被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。

2016年4月には熊本地震が発生し、死者49人という甚大な被害をもたらし、被災地域における静脈血栓症や心血管疾患、脳血管疾患の増加が問題となりました。

>熊本地震で被災された皆様へ(2016年4月19日)

2011年の東日本大震災(死者15,894名、行方不明者2,561名)、2007年の新潟県中越沖地震(死者15名)、2004年の新潟中越地震(死者68名)、2003年の十勝沖地震(死者・行方不明者2名)、1995年の阪神・淡路大震災(死者6,434名)と本邦では数年おきに死者を出す大規模な地震災害が起こっています。

 

全半壊家屋が約2400戸にのぼった能登半島地震で倒壊した建物=2007年3月、輪島市内

当地、石川県においても2007年に能登半島地震が発生し、直接的な被害による死者は1名でしたが、輪島市を中心に家屋倒壊などの甚大な被害が出ました。

私たちは当初より地域の最前線で診療を行った医局員を全面的に支援し、災害医療について深く取り組むきっかけとなりました。私たちの災害医療への取り組みが北陸中日新聞(2007年7月4日付け)に掲載されています。

 

 

私たちはこの能登半島地震の経験から、大規模地震の場合には急性冠症候群や脳内出血の頻度が明らかに増加し、時として地震そのものによる犠牲者を凌駕することを報告しています。


第55回 日本心臓病学会 学術集会
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竹越 忠美、北 義人、松本 洋、土田 真之、品川 誠
能登半島地震による糖尿病患者への影響
糖尿病 Vol. 52 (2009) No. 2 P 103-110 icon_doi


Impact of severe earthquake on the occurrence ofcj acute coronary syndrome and stroke in a rural area of Japan.
Tsuchida M, Kawashiri MA, Teramoto R, Takata M, Sakata K, Omi W, Okajima M, Takamura M, Ino H, Kita Y, Takegoshi T, Inaba H, Yamagishi M.
Circ J. 2009 Jul;73(7):1243-7. icon_doi

土田らは急性冠症候群は地震発生から2週間以内、また脳内出血は地震発生から約1ヶ月間は発生が持続することを明らかにしました。まさに今回の熊本地震後に見られた大規模地震後の循環器疾患の増加について警鐘を鳴らした研究成果です。


過去の特集もご覧ください。

「大規模地震と循環器疾患」論文(土田真之先生


これら実地医療に基づいた学術活動は北陸中日新聞で大々的に報じられました。

北陸中日新聞(2009年5月28日)に報じられた大規模地震と循環器疾患に関する研究活動

 

 

 


災害時には備えと行動力、そして、このような科学的分析に基づいた判断が必要となります。

 

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