循環器病態内科学教室(Department of Cardiovascular and Internal Medicine)では内科学の各分野において革新的な臨床・基礎研究を展開しています。また、それらの成果を臨床に活かすためのトランスレーショナル研究を積極的に行っています。
医療の現場である「臨床」では、いかに高度で良質な医療が国民の皆さんへ提供されているかに注目が集まります。一方で、この臨床の発展には医学研究がとても大切な役割を果たしています。生命現象を解き明かし、細胞や分子レベルでの病態の解明を行う基礎医学研究からは診断精度の向上や新薬、革新的な治療法が生まれる可能性があります。臨床研究では日々の診療から生じる問題点や疑問点を解決するために、より良い医療へ貢献する知恵が模索されます。
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私たち循環器病態内科学教室の研究分野は心筋梗塞、心不全、不整脈などの循環器疾患、高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満といった生活習慣病や内分泌疾患、腎、リウマチ、膠原病疾患、消化器疾患など内科全体にわたる臓器障害に対し幅広く行っています。基礎研究、臨床研究、さらにそれらの成果を実際の臨床現場に応用するトランスレーショナル研究を国内外の主要施設と共同で行い、医学の発展に貢献しています。
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各研究室のスタッフはチーフを筆頭に臨床専門分野における専門医・指導医であると同時に、研究分野においてもオピニオンリーダーとして国内外で活躍しています。そのような経験豊富なスタッフのもとで大学院生を中心とした若手医師や研究生が日々研究に励み、2014年に新しくなった実験室は活気に満ちています。さらに、それぞれに研究分野は違えども、研究手法やTipsなどについて研究室を超えてディスカッションできる環境が私たちの大きな強みです。
私たちは各研究室の豊富な経験に裏打ちされた確かな方法論で未知への挑戦を続けます。そして、そのような研究を夢と情熱を持って担っていく医学生の皆さん、若手医師の皆さんの参加を歓迎します。研究室の見学希望は随時受け付けていますのでお問合せフォームよりご連絡ください。
私たちは「臨床心臓病学」「動脈硬化」「分子心臓病」「心血管再生医学」「内分泌代謝・糖尿病」「腎・リウマチ膠原病」「消化器病学」の7つの大きな柱を立て、現在4つの研究グループで専門的かつ横断的に研究を進めています。
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循環器研究室詳細
循環器研究室では、循環器病診療データの蓄積から研究への展開をはかっています。具体的には、脂質代謝、家族性高コレステロール血症、遺伝性心筋症の基礎研究黎明期においてNature誌、New England Journal of Medicine誌、Circulation誌などの超一流誌にそのエートスを発表し、国際的に研究を牽引してきました。遺伝子解析班では遺伝性代謝疾患、遺伝性心筋症、遺伝性不整脈の遺伝子解析を行い、発見した分子に対して主にゼブラフィッシュやiPS細胞などを用いて機能解析を行っています。
近年では遺伝子や細胞レベルの基礎研究から、臨床応用を想定したトランスレーショナルリサーチを行っています。日々進化している医療技術と既存の技術を融合させることで、難治性循環器疾患の発症機序の解明と新規治療の開発を目的としています。
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内分泌糖尿病研究室詳細
循環器疾患の発症・進展においては内分泌代謝異常が重要な役割を果たします。特に、高血圧、糖尿病への取り組みは国家的事業でもあります。私どもの研究室は、内分泌性高血圧、特に原発性アルドステロン症の臨床、研究において本邦での中心的役割を果たしています。心血管系や腎における「レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)」の重要性を報告し、今日の心不全臨床におけるアンジオテンシンIIブロッカーや抗アルドステロン薬の使用の先駆けとなりました。また糖尿病性腎症やメタボリックシンドロームにおけるRAASについての臨床研究が進行中で創薬を含め将来の新たな治療の開発に取り組んでいます。
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リウマチ膠原病研究室詳細
リウマチ膠原病研究室では臨床研究としてIgG4関連疾患とシェーグレン症候群に注目して研究を進めています。これら疾患の症例数は日本有数であり、シェーグレン症候群の一亜群として抗セントロメア抗体陽性原発性シェーグレン症候群の概念を提唱し、全国規模での症例の集積及び自己抗体の解析の日本のセンター的役割を果たしています。また、IgG4関連疾患においては腎臓病変の診断基準を作成し、日本腎臓学会誌に発表するなどこれらの研究では日本の中心的役割を果たしています。また、基礎的な研究にも取り組んでおり、関節リウマチやIgG4関連疾患モデルマウスを利用した研究、細胞を使った免疫グロブリンについての研究に取り組んでいます。
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消化管免疫研究室詳細
従来からWilson病をはじめとした多様な疾患の遺伝子解析研究を行い、数々の業績を挙げてきました。現在、大腸の腫瘍性病変の臨床検体を用いた遺伝子解析を札幌医科大学分子生物学講座、名古屋市立大学消化器・代謝内科学講座などの国内の研究施設と共同で行っています。今後、関連施設や共同研究施設から検体の提供を受け、研究対象を拡大する予定です。
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