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内科グランドカンファランス2016

2016.12.05 | 教育 | 医局行事 |

2016年10月22日(土)、金沢大学医学部教育棟第3講義室において、当教室リウマチ・膠原病研究室が主催する内科グランドカンファランス2016が開催されました。

昨年に引き続き、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の内科学教授で「内科医の頂点」「鑑別診断の神様」と称されるローレンス・ティアニー先生を招いての症例カンファレンスです。

若手医師や初期研修医、時には医学部学生による症例提示が行われ、ティアニー先生が繰り広げる鮮やかな臨床推論が展開されます。時には何がディスカッションされているのか、ティアニー先生が何を基準に鑑別の優先順位をつけているのかについていけなくなりますが、自治医科大学総合診療内科教授の松村正巳先生が我々をナビゲートしてくれます。
金沢大学の学生や北陸3県の初期研修医はもちろん、指導医クラスの先生まで約50名の方に参加して頂き、会場の学生用講義室が最後列まで埋まる盛況ぶりでした。

事前にお知らせしていない2症例について、主訴、病歴、身体所見の順に情報が増えていく中でどのように鑑別診断を整理し統合していくかを論理的に展開されました。
1症例目は福井県立病院初期研修医 菅野医師がプレゼンされ、頭部外傷後に右眼瞼下垂、顔面神経麻痺を呈した85歳女性で、最終診断は「Cephalic tetanus」でした。Tetanusは日本や米国において近年とても稀な感染症になっており、ティアニー先生ご自身も本疾患の診療経験はそれほどないようです。しかしながら、家庭医であられたティアニー先生のお父様から学んだTetanusについての知識と、本症例の病歴からすぐさまTetanusを鑑別に挙げられ、「鑑別診断の神様」と呼ばれる所以をまざまざとみせつけてくれました。

2症例目は金沢大学医学類6年の稲垣さんが、リウマチ・膠原病内科で診療された多発関節炎と四肢末梢の浮腫を主訴とする75歳女性についてプレゼンされました。関節リウマチ、Remitting Seronegative Symmetrical Synovitis with Pitting Edema (RS3PE)症候群等の鑑別を中心に診療が開始されましたが、入院経過中に悪性リンパ腫とそれに伴う血球貪食症候群が顕在化し、最終的には悪性リンパ腫に伴うRS3PE様症状としての関節炎、浮腫として化学療法によりそれらの症状が改善した症例でした。プレゼンの中で、関節リウマチの分類基準について言及されることがありましたが、ティアニー先生は「分類基準で関節リウマチが診断されるのではなく、私が診断したものが関節リウマチである」とまさに内科医の頂点としての矜持を示されました。

ティアニー先生はアメリカで老舗の内科教科書である「Current Medical Diagnosis and Treatment」の主幹編集者を2008年まで務められました。2004年~2005年頃にかけては松村先生が当時勤務されていた石川県立中央病院(関連病院参照)での勉強会に多くの医学生や若手医師が詰めかけ、このCurrentを持ってサインの列に並んだものでした。その医師たちは今や全国の教育機関・医療機関で主軸となって活躍しています。ティアニー先生の診断理論や珠玉のパールは松村先生の訳で世に出ています。

 

 

 

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