2016年春にENDO(米国内分泌学会)年次集会で注目を浴びた副腎静脈サンプリング(adrenal venous sampling: AVS)における迅速コルチゾール測定についての続報です。本プロジェクトを率いるのは内分泌糖尿病研究室チーフの米田隆医師です。
>The Highlight of ENDO2016 in Boston
AVSにおける迅速コルチゾールキットは金沢大学と北陸先端科学技術大学院大学の共同開発によるものです。その有用性は米国内分泌学会雑誌Journal of Clinical Endoclinology & Metabolism (Impact Factor 2015: 5.531)に原著論文が掲載され、原発性アルドステロン症患者さんにとって大きな福音となる革新的技術として国内外から高い評価を受けています。
Impact of New Quick Gold Nanoparticle-Based Cortisol Assay During Adrenal Vein Sampling for Primary Aldosteronism.
Yoneda T, Karashima S, Kometani M, Usukura M, Demura M, Sanada J, Minami T, Koda W, Gabata T, Matsui O, Idegami K, Takamura Y, Tamiya E, Oe M, Nakai M, Mori S, Terayama N, Matsuda Y, Kamemura K, Fujii S, Seta T, Sawamura T, Okuda R, Takeda Y, Hayashi K, Yamagishi M, Takeda Y.
J Clin Endocrinol Metab. 2016 Jun;101(6):2554-61.
医学情報サイトHealioに本論文が特集されています。
Healio, Endocrine today -Quick cortisol assay improves speed, accuracy in adrenal vein sampling-
原発性アルドステロン症は心血管合併症の頻度が高く、早期診断に基づく早期治療が望まれる2次性高血圧症です。診断に用いる副腎静脈サンプリング(adrenal venous sampling: AVS)の低い検体摂取成功率(30-50%)を克服するため、研究グループではナノテクノロジーを用い、簡便かつ迅速にできるコルチゾール測定法を開発しました。RCTを実施しAVS成功率を90%まで上昇させ、その有用性を証明しました。
また、マレーシアに米田先生と測定キットの技術者が訪問したことがMalaysian Endocrine and Metabolic Society(マレーシア内分泌学会)からの速報で紹介されています。
MEMS -Breaking News & Reports-
本キットはすでに日米両国の特許を取得しており、さらなる進展が期待されます。