2016年6月19日(日曜日)、保健学系の稲津明広教授が会長として日本内科学会第229回北陸地方会学術集会を金沢大学宝町キャンパス内で開催されました。
午前中は、当教室リウマチ膠原病内科長の川野充弘講師、当教室OBの松村正巳先生(地域医療学センター総合診療部門教授)をはじめ、当院呼吸器内科 笠原寿郎先生、慶応義塾大学医学部衛生学公衆衛生学 岡村智教先生、京都府立医科大学 福井道明先生、教育講演が行われ、多数の会員の先生方のご出席をいただき、大盛況となりました。
午後からの一般演題では計48題のご発表を頂きました。座長の先生方のご協力もあり、最後まで活発にご討議頂きました。
今回、金沢大学主催となった内科地方会を盛況のうちに終わらせることができ、ご尽力頂きました関係の皆様に御礼申し上げます。
第229回 内科学会北陸地方会 概要
■教育公演
座長 金沢大学医薬保健研究域保健学系病態検査学 稲津明広 教授
1. 関節リウマチ診療の進歩
金沢大学付属病院リウマチ膠原病内科
川野充弘
2. 肺癌薬物療法の現状と問題点
金沢大学付属病院呼吸器内科
笠原寿郎
3. プライマリケアのおける脳・心血管疾患の発症予測
慶応義塾大学医学部衛生学公衆衛生学
岡村智教
4. 内科医が知っておくべき2型糖尿病食事療法
京都府立医科大学大学院医学系研究科
内分泌代謝学 免疫内科学
福井道明
5. 診断のプロセスとエラー
自治医科大学付属病院総合診療内科
松村正巳
■専門医部会教育セミナー
「不明熱で発症し、急激な経過をたどった1例」
司会 金沢医科大学 正木康史
発表 金沢医科大学 矢部友久
■一般演題 48演題
当教室からは、中橋卓也先生が症例報告を行いました。また、一般演題のセッション:循環器2において森三佳先生が、アレルギー膠原病のセッションで水島伊知郎先生が座長を務めました。
Polyvascular diseaseを呈した弾力線維性仮性黄色腫の1例
金沢大学循環器内科
中橋 卓也,永田 庸二,多田 隼人,川尻 剛照,山岸 正和
【症例】72歳,女性【主訴】労作時息切れ【現病歴】高血圧と脂質異常症にて通院中であった.リスクファクターは良好に管理されていたが,数ヶ月程前より労作時の胸部症状を自覚するようになり,前医にて冠動脈CTを受けたところ,多枝に及ぶ著明な石灰化を指摘された.スクリーニング目的に施行したABIでは両側の低下が認められたため,血管CTにて評価したところ,腹部大動脈と両大腿動脈に高度の石灰化が認められた.診察では頸部から腋窩部にかけて半米粒大の黄色腫が認められ,同部位の生検にて,真皮内の弾性線維の断裂が確認された.少量の抗血小板薬とβ遮断薬を中心とした薬物療法にて症状はコントロールされ,現在は保存的加療を継続している.【考察】本例はリスクファクターは良好に管理されていたにも関わらず,Polyvascular diseaseが認められており,原因に弾力線維性仮性黄色腫の関与が示唆された.
関連病院から市立輪島病院の東雅也先生、加賀市民病院の堀田成人先生、石川県立中央病院の西岡亮先生がそれぞれ発表し、会場では活発な討議が行われていました。