2015年8月にロンドンで開催されました欧州心臓学会(ESC、ロンドン)に当教室から多数の演題発表がありました。
山岸教授はキーノートレクチャーと座長、今野、多田、林、寺本の各助教は一般演題を発表しました。会期中のロンドンではストが予定されるという情報もあり、心配されましたが何とか回避されました。ストのメッカであるイギリスならではのエピソードでした。
初日のレジストレーションには長蛇の列ができ、受け付けに半日を要する有様でした!演題発表に間に合わない参加者から大変な苦情がでていましたが、そのような雰囲気でも受付スタッフはマイペースに作業を続け、特に人員が補充される訳でもなく、英国人のメンタリティーを見た気がしました。
会場は大変華やかな感じで、EUおよびアジアからの訪問者を歓迎しているようでした。特に、ビレッジと呼ばれる、一般的な口演会場に加えて、広いスペースに巨大な円形の膜で仕切った会場が6つほどあり、面白い配置になっていました。
山岸正和教授
山岸教授は初日にビレッジで講演を行いました。
キーノートレクチャー:心房細動における心原性血栓塞栓症予防の重要性
また、中日にはあるコホート研究のセッション座長を務められました。
当初、相方のイタリア人が予想通り来ず、お一人で座長をこなしておられました。ヘッドセットを着用し、マイクなしで座長を務める姿は何やらお笑い番組のMCを見ているようでした。
教室からの発表はポスターが主でした。ポスター掲示もよくあるタテ型のボードではなく、つりさげ型のボードでした。足元がすっきりしていてなかなかいい感じでしたが、上に吊るす構造がないと設営に手間がかかりそうな感じではありました。
今野哲雄助教
今野助教のライフワークの一つでもあります、肥大型心筋症の臨床研究です。従来着目されていない、肥大型心筋症における右心室肥大の意義を検討した演題です。
多田隼人助教
タンジール病の遺伝子解析を従来法に勝るすぐれた手法を応用して行ったものです。
寺本了太助教
肥大型心筋症の臨床研究です。上記今野助教が見出したfragmented QRSを心臓突然死のリスクとして意義を深めた研究です。心電図を見る目が変わってきます。
林研至助教
林先生のライフワークの一つであります、Kチャンネルに関する研究です。最近もCirculation姉妹誌に論文が採択されるなど、結構のっておられます。
日本からロンドンへの一般的ルートは小松→羽田(成田)→ロンドンですが、パリ経由やら、約8万円安いという理由でバンコック経由で訪れた達人もおられたようです。この場合、バンコックでの9時間のトランジット時間がありますので、バンコック市内観光やタイ料理を堪能できたそうです。ロンドンヒースロー空港到着後は、地下鉄ピカデリー線で一路ロンドン市内へ向かいます。この場合、オイスターカードという地下鉄やDLR線用のパスが便利です。20ポンド(約4000円)ですが、地下鉄などは頻繁に使いますので、便利でかつお得です。
途中のハンマースミス駅やビクトリア駅、グリーンパーク駅などで、国鉄やDLRなどに乗り換えると市街地の目的地に容易に着けます。山岸教授は、カナルワーフという金融機関が集まる新開発地域にホテルを取られましたが、古い運河の名残が漂い、なかなかの雰囲気ではあったとのことです。
会場であるExCeL Londonまでの移動は電車になります。面白いのは切符の自動改札がある駅とまったくの無人駅があることです。極論すれば無人駅間であれば「無賃乗車」が可能なわけです。ExCeL London駅も基本的には無人駅でしたが、この日は係員が出場者の検札をしていました。ちなみに無賃乗車の罰金は80ポンド(約16,000円)だそうです。
欧州での学会の楽しみは、発表以外の観光や旧友との再会でしょう。市内の観光名所、イギリスーロンドンといえば、タワーブリッジ、ビッグベン、ウエストミンスター寺院それに大英博物館がまず挙げられるでしょう。山岸教授は以前カイロに滞在したおり、カイロ博物館を見学され、「本当にいいものは大英博物館にある」と言われたそうです。中国北京の「故宮」が空っぽで、中身は台北にあるような感じでしょうか。
イギリスの名門大学、Kings Collegeに日本から大津欣也教授が着任されています。ロンドン郊外のステーキハウスで山岸教授との旧交を温められました。
King’s College London, Otsu Labo
最近ではMurakawa T et al. Bcl-2-like protein 13 is a mammalian Atg32 homologue that mediates mitophagy and mitochondrial fragmentation. Nat Commun. 2015 Jul 6;6:7527. doi: 10.1038/ncomms8527.を執筆されています。寺本了太先生(救急部助教)と林研至先生(検査部助教)の二人が大津研を表敬訪問いたしました。
Kings Collegeはデンマークヒルにあり、ここにある附属病院の他、心臓保護液で有名なセントトーマス病院など3つの教育病院を有して学生教育にあたっているそうです。
あっという間のロンドン滞在でした。帰路は羽田まで11時間30分。来年はローマでの開催だそうです。皆さんも抄録を出してみましょう。きっと楽しい時間を過ごせると思います。
以下は思い出の写真です。